iPhone XS、XS Maxの発表についてまとめたいと思います。XRについては次回の記事で別にまとめたいと思います。
毎年、iPhoneのチップの性能と価格に驚かされるのは恒例になっているけれど、今回ほどチップの性能以外では「終始マイナーなアップグレード」になったのは初めてではないのか?と思っている。それでは私の思うところを書いていきたい。
アイキャッチ画像、記事内画像はアップル公式サイトよりスクリーンキャプチャ:https://www.apple.com/jp/iphone-xs/
主なスペック & 価格
チップ | A12 Bionic |
RAM | 4 GB |
容量 | 64/256/512 GB |
画面 | AMOLED 5.8 / 6.5 インチ 解像度: フルHD+ XS → 2436 x 1125 (458ppi) XS MAX → 2688 x 1242 (458ppi) 19.5:9 (アスペクト比) スクリーン対ボディ比: XS → 82.9% XS Max → 84.4% |
カメラ | 背面: メイン 1200万画素 F1.8 光学式手ぶれ補正 (OIS) サブ 1200万画素 F2.4 光学式手ぶれ補正 (OIS) 4K 24/30/60 FPS 1080P 30/60 FPS 1080P 120/240 FPS インカメラ:700万画素 F2.2 |
バッテリー | 不明(執筆時) |
OS | iOS 12 |
その他 | ワイヤレス充電 防塵防水 IP68 |
価格 | XS (税込) 64GB → 12万1824円 256GB → 14万184円 512GB → 16万5024円XS Max (税込) 64GB → 13万4784円 256GB → 15万3144円 512GB → 17万7984円 |
公式動画
処理能力
A12 Bionic
今年のA12 Bionic (以後 A12)のパフォーマンスは凄まじく、昨年のA11の時点ですごいのに、また1段、格上のパフォーマンスを誇る7nm(ナノメートル)のチップを搭載している。A11は10nm。
まあこの話を読んで「おー、すげー」と即理解できるあなたは「十分スマホ・マニア」ですが、普通の人は「7nm?何それ?」というのがほとんどでしょう。とりあえず、コンピュータ・チップの世界ではこの数値が小さくなるほどよいと覚えておいてください。
実はiPhoneの最新チップはアンドロイドに搭載されるチップよりも1年ほど先を行っている。昨年のiPhone 8シリーズ、Xに搭載された「A11 Bionic」というチップは、今年のアンドロイド・スマホのに搭載される最高クラスのチップ「スナップドラゴン845」よりも性能が未だに上である。
A11 Bionic (2017) > スナップドラゴン845 (2018)
なので、A12のチップはアンドロイドに搭載されているスナップドラゴン845を更に突き放す形となり、現時点でA12を上回るスマホ用のチップはないのである。
GeekBench 4のスコア (推定) シングル 4800前後 マルチ 11000前後
チップの処理能力を計測する「GeekBench」というアプリがあり、これは非常に有名で信頼性の高いアプリ。
iPhone XSの数値はまだ正式に発表されてはいないけれど、
シングル・スコア 4800前後
マルチ・スコア 11000前後
になるのではと予想されている。下は現時点でスナップドラゴン845を搭載したアンドロイド・スマホのシングルとマルチの最高値とiPhone XSのA12を図にしたもの。
青:iPhone XS
赤:アンドロイド845 (シングル:Black Shark、マルチ:OnePlus 6)
大きなアップグレードは処理能力のみ
いかにこのA12のチップの性能がすごいのかがわかるとは思うのだが、iPhone X → XSシリーズ で大きくアップグレードするのはこのA12チップのみである。
それ以外はA12の性能に起因する、カメラ、バッテリー、OS、アプリなどマイナーな性能アップにしかならないのではという推測が強い。
余談
そもそも論ではあるが、確かにA12の性能が素晴らしいことに何の不満もないけれど、「そこまでの性能は必要なのか」という思いがある。チップの性能向上という競争は今後も続いていくし、ベンチマークのスコアはどんどん上がっていくだろう。
カメラの性能アップにもチップは重要な役割を担っているので、まだまだこの競争は終わらないのはわかっている。しかしながら、今のパソコンのCPUやGPUがはっきりとクラス分けされているように、いずれスマホの世界でも「アベレージユーザーなら最高クラスのチップは不要」という時代がくるのではと思っている。
カメラ
メイン:1200万画素 F1.8 (OIS) サブ:望遠1200万画素 F2.4(OIS)
OIS = 光学式手ぶれ補正 という意味です。
構成は昨年のXと全く同じではあるけれど、悲観する必要はないと思う。その理由はカメラのセンサー・サイズが若干大きくなったため。
1.22µm (iPhone X) → 1.4µm (XSシリーズ)
カメラはセンサーサイズが大きくなるに越したことはなく、この変更で、「より多くの光が取り込めるようになり、暗所やハイダイナミックレンジ、逆光などの悪条件での画質向上が予想」できる。
ただ、「劇的に良くなる」という訳ではなく、おそらく若干良くなるという程度ではないかと私は推測している。
スマートHDR
スマートHDRは、より高速なセンサー、強化されたISP、高度なアルゴリズムといった複数のテクノロジーを活用し、あなたの写真の明部と暗部により精細なディテールをもたらします。
上はアップルからの引用なんだが、まあこれだけではイマイチよくはわからないというのが私の本音。ISP = Image Signal Proccessor (画像処理プロセッサ)という意味なのはわかるけれど・・・
マニア層での見解は「おそらく、グーグル・ピクセルのカメラのように撮った写真をソフトウェア面で解析し、”高画質”に作り上げる」のではという考えであり、私もこの意見に賛同している。
ボケと深度コントロール
これはボケ味の度合いをコントロールできるというもの。ファーウェイやサムスンのスマホについてご存知であれば「おなじみの機能」で、ファーウェイなら「アパーチャ機能」、サムスンなら「ライブ・フォーカス」という機能。
下の公式動画を見てもらえればわかると思う。
バッテリー
XS → Xより30分向上
XS Max → Xより1.5時間向上
というのがアップルの公式発表で、ここ数年のiPhoneのバッテリーの特徴として、待機時間は良いけれど、重い負荷がかかる作業をすると電池の減りが非常に早い。
アンドロイド・スマホに比べると顕著で、バッテリー・ドレインテストでiPhoneの端末が勝ったことはみたことがない。これは、物理的なバッテリー容量が他のアンドロイド・スマホよりもかなり少ないせいだと思う。
あと、いい加減「物理的な容量を発表時に言え」と思う。いつもいつも、前機種の◯◯より、◯◯時間向上という表現が恒例だけれど、それでは「マニア層はいったい、いくらの容量なのかがいつもわからないんだよ」と文句を言いたくなる。
ディスプレイ
AMOLED (有機EL) XS → 5.8インチ Max → 6.5インチ
解像度
XS → 2436 x 1125 (458ppi)
XS Max → 2688 x 1242 (458ppi)
Super Retinaと言っているけれど、パネルはサムスン製とLG製があるといわれている。昨年のXはサムスンが一社で独占していたため、ディスプレイの製造コストがかなり高かったとも言われている。
変な解像度はアップルの十八番のようなものなので、変わった感じなのだけれど、品質はサムスンのフラッグシップ並みのクォリティーと予想され、この辺がアップルの凄みだと思う。
スピーカー
iPhoneはスピーカーに定評があり、もちろんステレオ・スピーカーである。
ステレオ録音
iPhone X、iPhone 8シリーズはモノラル録音で集音性はかなり悪い印象があった。XSシリーズではステレオ録音になり、それがどこまで改善されたのかが気になる。
その他
イヤホン・ジャック、micro SD不可
まあこれは、いつも通りで、アップルがこれらに対応する日は一生ない。人によっては「いつまでイヤホンジャックって言ってるんだよ」、と言うかもしれないが、未だに有線イヤホンを使っている人は「かなり多い」ので依然として需要があるのがイヤホンジャック。
いつも言うように「ないよりあったほうが良い」のである。
ワイヤレス充電、防塵防水IP68
防塵防水が IP67 → IP68 に向上した以外は同じ。ようやく最高値の6”8”に対応。
3.5mm イヤホン・アダプター 付属せず!!
これは一番の衝撃だったかもしれない。10万円超えのスマホにも関わらず、たった1000円ほどのパーツさえ付属してくれないという、ケチくさい対応。
充電器:超低速5ワット出力
アンドロイド端末は最低でも10ワット出力は確保されている。もっと高性能のOnePlusの「ダッシュ・チャージャー」だと20ワットの出力にもなる充電器が「付属」でついてくる。
それが未だに5ワットとは?と怒りを通り越すレベルだといえる。よくアンドロイドを使ったことのないiPhoneユーザーが、iPhoneの充電がいかに遅いのかを知らないけれど、そりゃ5ワットじゃ遅いよ!!と言ってあげたい。
価格 (税込)
モデル | XS | XS Max |
64GB | 12万1824円 | 13万4784円 |
256GB | 14万184円 | 15万3144円 |
512GB | 16万5024円 | 17万7984円 |
最も盛り上がるであろうカテゴリー。まず512GBは99.99%の人には不要なモデルだと思うので要らないとして、64GB版も12.2万も払ってこの容量とは、本当に納得がいかない。
もしmicro SDが使えたのなら64GBでも良いけれど、天下のiPhone様にはそんな小手先の便利さは与えてくれる訳もない。
なので、必然的に256GB一択となる。なのでiPhone XSシリーズは256GBの価格のみ見るべきだと思う。
XS (税込) 256GB → 14万184円
XS Max (税込) 256GB → 15万3144円
Macbook Pro 13インチ (最安モデル) → 15万4224円
iPhoneにはコスパは期待してはいけないとはわかってはいるものの、何故ここまで高いのか。本当にここまで高額なスマホが必要か?と思う。スマホは基本的にはアプリやコンテンツを消費するためがほとんどで、生産的なモノではない。
XS Max (256GB)の価格は一番安い Macbook Pro 13インチと変わらない。本当にここまでの価格を払う価値があるのか?と自問してもらいたい。
他のスマホと比較した場合だと、たった1台XS Maxの64GB 13.5万円 → OnePlus 6 / Sony XZ2 2台分
買いたい人はどうぞ、ご自由にとしか言いようがない。
まとめ
今までにないくらい、アップグレードの内容に乏しいと感じるのは私だけではないハズ。
XSシリーズは現時点で確証あるアップグレードは「A12 Bionic」の世界初7nmチップのみで、処理能力がまた一段とかなりえげつない性能になったといえる。
しかし、昨年のA11でも十分すぎる性能であり、アベレージ・ユーザーからすればこれほどの有り余る処理能力は必要なのかと思ってしまう。
しかし、フラッグシップ・スマホの競争というのはこういうもので、とにかく世界一の技術を競い合う舞台、必要がなくともブチ込んでくるのである。
処理能力以外ではカメラ性能、バッテリーにマイナーなアップグレードがある程度で、それ以外は大した変化がないと(現時点では)思う。
価格は最安の64GB版が XS → 12.2万円 XS Max → 13.5万円 で、一番実用的な256GB版が XS → 14万円 XS Max → 15.3万円 になる。
もう私は10万円以上のスマホにはあまり興味が出てこないので、どうしても欲しい人は買えば良いとは思うけれど、積極的にはおすすめはしない。
もちろん、iPhoneなので、毎年のことながら総合的な性能は世代ではピカイチなのは簡単に予想できる。もちろん、最高峰のスマホを手に入れる代償として高額な価格が必要になってくるけれど・・・
以上が私のiPhone XS、XS Maxの発表後の感想になる。次回はXRについて書きたいと思います。
余談
iPhone XSシリーズについてかなり辛辣な書き方になっているけれど、私はアップルが嫌いでもなんでもない。むしろアップル製品を結構使っている部類に入る。
このブログを書いているパソコンはMacBook Proであるし、今はあまり使ってはいないがMac Miniも所有している。タブレットはもちろんiPadである。
昨年は予算の関係でiPhone 8シリーズを買うことがなかったが今年はiPhoneをこのブログのために用意しようかなと思っている。なので、私はアンチ・アップルではなく、むしろアップル愛好者といえる(アップル信者とまではいかないが)。
そんな人間でもiPhone XSシリーズは敬遠気味なのであるということを理解してもらえればと思います。それでは。