「Huawei P30 Pro」の発表後の感想をまとめていきたい。今回はP30 Proについてまとめるので、同時に発表された「P30」については次回の記事でまとめたい。
P30 Proは背面に「広角・標準・望遠・ToF」という4つもカメラを搭載、特に望遠は5倍光学ズーム、最高50倍ズームにまで対応している。それだけでなく、バッテリーも4200mAhと安定の大容量で、その他、優れたデザイン性も際立っている。
ただ、価格は999ユーロ (約12.5万円)と非常に高い。それでもHuaweiのイノベーション力を発揮した1台だと感じている。それでは詳しく見てまいりましょう。
アイキャッチ画像、記事内画像はHuawei Global公式サイトと公式YouTube動画よりスクリーンキャプチャ:https://consumer.huawei.com/en/phones/p30-pro/
主なスペック & 価格
チップ | Kirin 980 |
RAM | 8 GB |
容量 | 128GB/256GB/512 GB NM カード (~256GB) |
画面 | AMOLED 6.47 インチ 解像度:2340 x 1080 (398ppi) スクリーン対ボディ比:88.6% |
カメラ | 背面: 広角 2000万画素 F2.2 標準 4000万画素 F1.6 望遠 800万画素 F3.4 光学式手ぶれ補正 (OIS) 電子式手ぶれ補正 (EIS) インカメラ: 3200万画素 F2.0 |
バッテリー | 4200mAh |
OS | パイ 9.0 |
その他 | NM カード ワイヤレス充電 防塵防水 IP68 |
価格 (ユーロ) | 999ユーロ〜 (約12.5万円) |
公式動画
カメラ
広角 2000万画素 F2.2
標準 4000万画素 F1.6
望遠 800万画素 F3.4
ToF カメラ
まずはじめに書いておきたいのは、カメラに関してはHuaweiの並々ならぬ力の入れようを感ぜずにはいられないということである。
今年は「広角・標準・望遠」のトリプル・レンズ・カメラが主流になると予想しているけれど、P30 Proは更にその上をいき、「広角・標準・望遠・ToF」と4つもカメラを搭載してきた。例年通り、ライカとの共同開発である。
まず、いつもの意見として、広角・標準・望遠の3つの画角を自由に切り替えられる利便性は何ものにも代えがたく、一度この便利さを体験してしまうと、iPhone XRやPixel 3のようなシングル・レンズには戻りたくないと思ってしまう。たとえそのシングル・レンズの性能が業界トップといえでもである。
画素数はメインの標準レンズが4000万画素といつもどおり「超高画素化」なのだが、実際には「ピクセル・ビニング」という技術を用い、1000万画素で撮影することになる。この技術を用いる理由は“よりクリアで明るい、色の再現性を向上させている“ためといわれている。
そして、今回、特に注目したいのが、「5倍光学ズームの望遠レンズ」と「ToFカメラ」である
ペリスコープ・カメラ
(光学ズーム5倍、ハイブリッドズーム10倍、最大50倍ズーム)
Huaweiは今回、次世代型の望遠レンズである「ペリスコープ(潜望鏡)型」を導入してきている。ペリスコープとは潜水艦などが海上の様子を見るための装置のことで、それと同様の技術を応用し、「光学5倍ズーム」を実現している。
そして、ハイブリッドズームにいたっては「10倍ズーム」にまで対応、そしてデジタル・ズームでは「最大50倍」という驚愕のズーム性能を誇っている。
しかも、光学式手ブレ補正(OIS)とAI式手ブレ補正(AIS)のおかげなのか、多くのテック・ユーチューバーの動画を見る限り、50倍にまでズームをしても「手ブレ補正がわりと効いている」ことが確認できるので、Huaweiの技術の高さを感じさせる。参考に↓↓
ちなみに、私がこのペリスコープ型の望遠レンズについて初めて知ったのは1ヶ月前のMWCにて「OPPOが発表したモノ」で、それがもうすでにP30 Proに導入されたことにとても驚いている。
個人的に、望遠レンズにあまり興味がない私でさえも「この望遠レンズは興味がそそられる」。おそらく使用頻度は少ないだろうが、スポーツ観戦や子供の運動会などで使うのに最適だろうと思う。
ToF カメラ
ToF (Time of Flight)カメラと聞いて「何それ?」と感じる人も多いかもしれないが、これはLG G8やHonor View 20にも採用されているカメラ。
私が下手に説明を入れるよりも↓の動画を見てもらえればわかりやすいです。(約3分)
私も今年になるまで知らなかったカメラ技術で「Xbox One世代のKinect」(engadgetより)でも使われていたそうなので、既存の技術をスマホカメラへ応用し「さらなるカメラ性能の向上」につながる。
特に、3D 空間認識で大いに役立つとされ、被写体と背後の空間を3Dで見分けることが可能になり、より精度の高い「ポートレート写真」を撮ることができる。人物だけでなくモノにも使える。
RYYBセンサー
4000万画素のメイン・カメラのセンサーは「RYYB (赤1つ・黄2つ・青1つ)」というピクセル配列のセンサーを導入。通常は「RGGB (赤1つ・緑2つ・青1つ)」のピクセル配置がカラーセンサーとしては常識なのだけれど、これを「RYYB」にすることにより、光を最大40%多く取り込むことが可能になった”らしい”。
これにより、暗所や夜景でのカメラ性能を更に向上させると謳っているので、期待してみたいと思う。
処理能力
Kirin 980 & 8GB RAM
現時点ではP30 Proの構成がHuaweiのスマホの中では最高峰の処理能力を誇る。特にRAM容量は8GBと、昨年のMate 20 Proの6GBよりもさらに2GB増量している。
Kirin 980のチップ自体は昨年のMate 20 Proから搭載されているチップであり、Antutuのスコアも30万点を超える優秀なチップなので、処理能力で不満を感じることはないといえる。
ただ、今年のスナップドラゴン855の性能はKirin 980よりもはるかに優秀で、サムスンのギャラクシーS10シリーズがAntutuで35万点を叩き出しているので、Kirin 980の性能については今となってはもう驚くことはない。
スナップドラゴン855、Kirin 980、A12 Bionic との比較
デバイス | スコア |
ギャラクシー S10e スナップドラゴン855 |
約35.8万点 |
iPhone XS (A12 Bionic) |
約35.5万点 |
Huawei Mate 20 (Kirin 980) |
約30.5万点 |
バッテリー関連
4200mAh
Huaweiは本当にバッテリーライフを重要視していると思う。フラッグシップで4000mAh以上もの容量を必ず搭載している。6.47インチとかなりの大画面ではあるけれど、今までの経験からだと、アベレージユーザーなら余裕で丸2日はもつだろうと予想できる。
急速充電 40W / ワイヤレス充電 15W
この付属の充電器で40W(ワット)出力というとんでもない「超急速充電」は、もはやHuaweiの十八番ともいえる。この充電スピードは尋常じゃないほど速く、およそ1時間程度で0% → 90%以上は充電できてしまう。
これだけの充電スピードがありながら、ワイヤレス充電も15W出力に対応しているので、ワイヤレス充電だけでも十分に急速充電が可能。これはワイヤレス充電”信者”にとっては良いニュースだといえる。
ディスプレイ
OLED 6.47 インチ フルHD+
解像度: 2340 x 1080 (398ppi)
意外にも解像度がQHD+でないことには驚いた。なぜかというと、昨年Mate 20 ProがQHD+の解像度にグレードアップしたため、P30 Proもそれに追従するのかと思われたけれど、そうはならなかった。
個人的には6.47インチという大画面であってもQHD+の解像度は必要ではなく、フルHD+で十分なのだけれど、世の中にはQHD+じゃないと満足できない層がいるため、この解像度では彼らを納得させられないかもしれない。
HDR10に対応しているので、HDR動画を楽しむことは可能。
個人的にはこれまでのHuaweiのディスプレイは十分に満足しており、フルHD+でも十分に高精細だと感じるので問題はないかと思っている。
スクリーン対ボディ比:88.6 %
この数値は非常に素晴らしい。昨年のMate 20 Proの87.9%をも上回っている。
ノッチデザインではあるけれど、Mate 20 Proに見られた「iPhoneのようなノッチデザイン」ではなく、Mate 20に近いデザインになっている。つまり、これは3Dセンサーを搭載していないということでもある。
そして、カーブデザインを採用していることにも触れておきたい。Mate 20 Proからの継続になるけれど、個人的にはあまりカーブデザインは好きではないし、嫌いな人も多いので、あまり良い印象はない。
スピーカー
ドルビーアトモス対応ステレオスピーカー
おそらく、ドルビーアトモスに対応するのは今回が初めてなのではないかと思う。Mate 20 Proとは違い、ちゃんと「スピーカーグリル」が存在するので、おそらく底面のスピーカーの質は本来の良さを取り戻したのではと思う。
(Mate 20 ProはUSB-Cからスピーカーの音が出る仕組みで、スピーカーグリルが存在しない。そのため、例年よりもスピーカーの品質が落ちた・・・)
スピーカー・スクリーン
スピーカーについてもう一つ付け加えたいのが、P30 Proには「受話口」がないこと。これはLG G8と同様の構造で、ディスプレイを振動させて音を鳴らす技術が使われている。受話口はないが、通話に関してはちゃんと相手の声を聞き取ることが可能となっている。
あとはどれくらいの音量を”ディスプレイが鳴らす”ことができるのかを期待したい。
OS:EMUI 9.1 (パイ9.0)
これはいつも書いているのだけれど、EMUIは「好き嫌いが分かれるOS」なので万人受けするOSではない。私は純アンドロイド派なので、Pixelやアンドロイド Oneが好きであるためEMUIはイマイチ好きではない。
その他
イヤホンジャック、micro SD、ワイヤレス充電、防塵防水 IP68
4機能 | P30 Pro |
イヤホン | X |
micro SD | X |
ワイヤレス充電 | ○ |
IP規格 | IP68 |
イヤホン・ジャックやmicro SDに対応していないのはProシリーズでは「当然」の流れで、逆にワイヤレス充電と防塵防水の最高クラスであるIP68に対応しているのもいつもの流れといえる。
NM (ナノ・メモリー) カード
一応、NM (ナノ・メモリー)カードといって、Huaweiが独自に開発したNano Simと同じ形状の外付けのメモリーカードがあり、それをmicro SDカードの代用として使うことができる。
これにより、完全に外部メモリーが使えないという訳ではないのだが、micro SDカードと比べると、このNMカードはまだ少しばかり高い。
ただ、それでも価格はかなり下がってきており、ほんの2〜3ヶ月前であればアマゾンにて128GBが約1万円弱もしていたけれど、現在では5550円まで値下げしている。
128GBのmicro SDが2750円(サンディスク製)、3480円(サムスン製)と価格ではまだmicro SDには負けるけれど、かなり手の届く範囲にまで下げってはきている。
ディスプレイ指紋認証
P30 Proは「光学式指紋認証」を採用している。同じディスプレイ指紋認証でもサムスンのギャラクシーS10、S10+に採用された「超音波式の指紋認証」とは違う。(超音波式の方がグレードが上といわれている)
初めて導入されたMate 20 Proのものから第2世代へ進化しており、そのため、認証精度やスピードもかなり上がっているといわれている。
ただ、昨年、光学式の指紋認証を採用した「Mate 20 ProやOnePlus 6T」などでは、”焼け付き”の問題が起こったこともあり、P30 Proが同様の問題を改善できたのかは時間が経たないとわからない。
2D顔認証
ノッチデザインのところでも書いたように、3Dセンサーが搭載されていないので、インカメだけでロックを解除する2D認証になっている。
これは前機種のP20 Proと同様のやり方であり、セキュリティ面には不安は残るけれど、便利であることは否定できない。
リバース・ワイヤレス・チャージ
これはスマホ自体がワイヤレス充電器となって他のスマホやワイヤレス充電に対応している端末を充電することができる機能。
この機能は昨年のMate 20 Proから登場したけれど、私が全く必要だと感じおらず、なくても何一つ困らないと思っている。
重さ:192g
これだけの大画面を考慮すれば192gは決して重すぎるということはないだろう。ただ、ギャラクシーS10+が175gという軽量化に成功しているので、それと比べると少し重いとえる。
デザイン性
Huaweiのデザイン性は1つ頭抜けた存在となりつつある。それは昨年あたりから感じており、P30 Proが非常に美しいデザイン性は特筆すべき点だと思う。
このブログで何度も書いているが私はスマホのデザイン性には「とやかくいうタイプではない」。そんな私でもハッとするほどのデザイン力といえる。
価格
モデル | 価格 |
128GB | 999ユーロ (約12.4万) |
256GB | 1099ユーロ (約13.7万) |
512GB | 1249ユーロ (約15.5万) |
128GB版で良いと思う。よっぽどのヘビーユーザーでない限り256GBは必要がないと思う。512GB版の必要性はだれにあるのかと問いたい。
どうしても容量が足りないのであれば、「128GB版+NMカード(128GB版)」で事足りるといえる。
ただ、128GB版であったとしても999ユーロ(約12.4万円)もする。相変わらず、HuaweiのProシリーズにはコスパを求めてはいけないのだとつくづく感じさせられる。
P30 ProのライバルにあたるS10+は海外通販サイトのイートレンで約10.7万円、エクスパンシスで約10.3万円で販売されており、P30 Proはそれらよりも1万円以上は高い。
ただ、Huaweiのスマホは価格が下落しやすいので、多少の時間をおけば、P30 Proの価格も下がってはくるだろう。(この価格の下落は基本的にアンドロイド・スマホ全般に言えることではあるが・・・)
日本での発売は?
例年通りであればHuaweiは日本でもP30 Proを公式販売するだろうと予測できる。日本での販売価格はヨーロッパの公式価格よりも下がる傾向が強いので、999ユーロ (12.4万円)よりかは安くなるだろうと思われる。
まとめ
価格に関して、予想はしていたが毎年の如く非常に高額であるため、コストパフォーマンスは良くないのでまずその点は残念ではいある。
しかし、P30 ProはHuaweiがいかに優れたイノベーションを世に送り出すことが可能な会社かを示すには十分なスマホだといえる。
優れたデザイン性だけでなく、背面に「広角・標準・望遠・ToF」と4つものカメラを取り入れるアグレッシブさ、光学ズーム5倍を実現するペリスコープ型の望遠レンズや3D認識が可能なToFカメラにも期待がかかる。
特に、ペリスコープ型の望遠レンズの出来栄えは、あまり望遠レンズに興味のない私でもワクワク感を期待させる。
バッテリー関連も文句なしの性能が期待でき、ディスプレイや処理能力、スピーカーもおそらく優秀だと予想できる。
その他の細かい点についてはサムスンやLGのように、あらゆる機能を網羅している訳ではないが、最低限の機能は兼ね備えている。
ただ、まとめの始めに書いたとおり、Proシリーズということもあり価格が非常に高いため、コストパフォーマンスに秀でたスマホではない。
それにも関わらず、普段、価格と性能のバランスにうるさい私でさえも、このP30 Proのスペック (特に望遠レンズの性能)やHuaweiのアグレッシブな姿勢に感心せずにはいられないといえる。