ソニーが「Xperia 1 を発表」したのでその感想をまとめたい。
トリプル・レンズ・カメラ (広角・標準・望遠)に、スナップドラゴン855、6GB RAM、そして4K OLED(有機EL)ディスプレイなどなど、昨年のXZ2やXZ3よりも大幅にアップグレードした感じはあるが、不安な点もあるので、全体的に詳しく書いていきたい。
アイキャッチ画像、記事内画像はソニー・グローバル公式サイトよりスクリーンキャプチャ:https://www.sonymobile.com/global-en/products/phones/xperia-1/
主なスペック & 公式価格 (不明)
チップ | スナップドラゴン 855 |
RAM | 6 GB |
容量 | 128 GB |
画面 | OLED 6.5 インチ 解像度: 4K 3840 x 1644 (643ppi) 19:9 (アスペクト比) 82.0% (スクリーン対ボディ比) |
カメラ | 背面: 広角 1200万画素 F2.4 標準 1200万画素 F1.6 (OIS) 望遠 1200万画素 F2.4 (OIS) インカメラ: 標準 800万画素 F2.0 |
バッテリー | 3330 mAh |
OS | 9.0 パイ |
その他 | micro SD (〜512GB) IP68 |
公式価格 | 不明 |
公式動画
カメラ
広角 1200万画素 F2.4
標準 1200万画素 F1.6
望遠 1200万画素 F2.4
背面はトリプル・レンズとなり、「広角・標準・望遠」という現時点ではもっとも便利な画角の構成となっている。これはつい先日に発表されたギャラクシーS10、S10+や昨年のMate 20 Pro、LG V40に続く形となる。
特に「広角レンズ」の存在は非常に大きいといえ、広角レンズを使った人ならわかるが、このレンズがあると写真の幅がぐっと広まるので、標準レンズと同じくらい重要なレンズだと思っている。
広角だけでなく、光学2倍ズームの望遠レンズも搭載している。標準や広角レンズよりも出番は圧倒的に少ないけれど、「無いよりあったほうが良い」レンズ。必ず望遠が必要になってくるケースがあるので、そういうときに光学2倍ズームは役に立つ。
私はこの3レンズ構成を非常に高く評価している。このブログで何度も書いているが、Pixel 3やiPhone XRのようにたとえシングル・レンズの性能が頭1つ飛び抜けていようと、私は「融通の利くトリプル・レンズ・カメラ」の方が価値が高いと思っている。
画像処理エンジンは「BIONZ X for mobile (ビオンズ)」というソニーのカメラシリーズである「α (アルファ)」で使う画像処理エンジンをXperia 1に応用している。
4K・HDRで録画が可能で、ビデオ録画の手ブレ補正もかなりレベルアップしているらしい。手ブレ補正に関してはギャラクシーS10がとんでもないくらい手ブレ補正が効いているのでそれとどう張り合えるのか気になるところ。
しかし、残念ながら、Huaweiの夜間モード(Night Mode)やGoogleの夜景モード(Night Sight)にあたるモードが存在しないのは辛い。何度もこのブログで取り上げているけれど、この類の機能というのもうすでになくてはならない存在になっているので、ソニーは早急にこのモードを導入すべきだと思う。
瞳 AF(オートフォーカス)
ソニーのカメラで使われていた瞳AFをスマホに採用。これは世界初ということなのだそう。実用的にはどうなのかはわからないが、人物を撮る際のオートフォーカスは格段によくなるのだろうと予想。
10FPS AF/AE
AFはオートフォーカス、AEはオート露出という意味で、被写体が動いていても、しっかり自動追従し、露出も自動で適切な設定にたもちながら、1秒間に10枚の写真を撮れる機能。これは気になる機能。
Cinema Pro (シネマ・プロ) ビデオ撮影
おそらく、この機能がソニーが最も強調したかった機能なのではと思う。ビデオ撮影で「マニュアルですべての設定 (シャッタースピード、ISO、ホワイトバランス、フォーカスなど)」ができるだけでなく、8つのカラー設定が可能。
おそらくこの機能は「アベレージユーザー」には全く不要な産物だといえ、おそらく使いこなせないだろう。しかし、カメラ玄人、とくに動画クリエイターの人たちならば、このCinema Proの価値はかなり高く評価しているのではと思う。
Xperia 1はアベレージユーザーがパシャパシャ写真や動画を撮影する人たちよりも、動画などを作る、クリエイターなどをターゲットにしているのかもしれない。
処理能力
スナップドラゴン855 & 6GB RAM
処理能力は2019年のフラッグシップとしては「最低限のスペック」だと思う。スナップドラゴン855は2019年のほぼすべてのフラッグシップに搭載されるチップで、これは問題ないのだが、RAM(6GB)がやや少ないのでは?と思ってしまう。
ギャラクシーS10、S10+は8GB RAMスタートなので、それと比べると6GB RAMのXeperia 1は2GBもの差がある。正直なところ、現状は6GBでも十分だと思うし、2年後でも6GBあれば十分なのでは?と予想しているけれど、同クラスのライバルが8GBを載せているのならば、ソニーもそうすべきであったと思う。
スナップドラゴン855自体は前評判通り非常に良いチップで、今はiPhone XSシリーズ、XRに搭載されている「A12 Bionic」というチップがAntutuなどのベンチマーク系のアプリでぶっちぎりの最高値を叩き出しているけれど、「スナップドラゴン855」はこのA12 Bionicに匹敵する実力があると言われている。
スナップドラゴン855のについてはこちらの記事を → 【 スナップドラゴン855 】は噂通りの高性能チップ
「スナップドラゴン 855のリファレンス機のスコアは↓」
iPhone XS、2018年アンドロイド・フラッグシップとの比較
デバイス | スコア |
リファレンス機 スナップドラゴン855 |
36万0444点 |
iPhone XS | 35万5856点 |
Huawei Mate 20 | 30万6608点 |
ROG Phone | 29万6726点 |
バッテリー関連
3330 mAh (6.5インチ)
Xperia 1で最も不安な点はこの少ないバッテリー容量。6.5インチのディスプレイを考慮するとかなり物足りないといえる。これだけ大きな画面であるならば、最低でも4000mAhは絶対に確保すべきだったといえる。
ライバルのS10+(6.4インチ)は4100mAhも搭載しているしNote 9も4000mAhある、それ以外のMate 20 Proは4200mAhと、昨年あたりから、大型のフラッグシップには4000mAh以上のバッテリー容量が搭載されるべきだという、一定のラインが引かれている。
もちろん、現時点では実際の使用でこの3330mAhのバッテリー容量でどれくらいのパフォーマンスがあるかはわからないけれど、おそらくライバル勢には劣るだろうと予想している。
ディスプレイ
OLED 6.5 インチ 4K HDR
解像度: 3840 x 1644 (643ppi)
OLED(有機EL)ディスプレイでは世界初の4K解像度を実現している。HDRにも当然対応しており、Xperia 1で撮った4K HDR動画をそのままこのディスプレイで見ることが可能。
もちろん、テレビ部門であるBRAVIAの技術を応用しているので、画質という面では大きな自信をもっている。
ただ、私がいつも疑問に思うのは4Kディスプレイって本当に必要なのか?という点である。ソニーは今までに何度か4Kディスプレイを搭載したスマホを出しているけれど、際立って成功しているわけではない。
私はスマホほどの画面サイズであればフルHD+で十分だといつも書いており、QHD+でも十分すぎるほど高解像度なのに、更にそれの上をいく4Kなんて宝の持ち腐れではないかと感じずにはいられない。
スクリーン対ボディ比:82.0 %
意外と数値は高くはない。正直、もう少し上の数値になるだろうと思っていた。ただ、ノッチ・デザインではないことを考えれば、ベゼルレス化は進んできている。
スピーカー
ドルビーアトモス対応 ステレオスピーカー
まず、今までソニーはフロント・スピーカーを熱心に採用してきたのだけれど、Xperia 1のメイン・スピーカーは底面に配置。
ベゼルレス化が最大の焦点であった2年前の2017年、ソニーがベゼルレス化を差し置いてあれだけ熱心にフロント・スピーカーに力を入れていたにも関わらず、今回、「結局、底面に配置変更」したことに驚いております。
正直なところ、結局、今更になってベゼルレス化を優先しメインスピーカーを底面に持ってくるのならば、もっと前からそうやっておけばよかったのにと思わずにはいられない。ソニーに苦言を呈するが、やっぱり肝心なときに方向性を見誤っていると感じる。
ドルビーアトモスに関してはようやく搭載することになった。正直、ドルビーアトモスに対応するのも遅いと思っている。なぜかというとサムスンなどは昨年のS9からこれに対応しているから。
とりあえず、フラッグシップにはこの機能は必須だと思うので、今回はちゃんと対応してよかったというべきか。
OS (9.0 パイ)
シンプルで純アンドロイドに近く、セキュリティ・パッチのアップデートもとても早いのでソニーのOSに対する姿勢は理想的だと思う。
ドコモ版などはキャリアが余計な手を加えて本来のソニーのOSの良さを消していると聞く。私はキャリアのXperiaを使ったことがないので、わからないが、「本来のソニーのOS」はシンプルでレスポンスも早く、本当に使いやすいのでオススメである。
その他
イヤホンジャック、micro SD、ワイヤレス充電、防塵防水 IP68
4機能 | Xperia 1 |
イヤホン | X |
micro SD | ○ |
ワイヤレス充電 | X |
IP規格 | ○ |
昨年のXZ2からイヤホンジャックが廃止されたので、もちろんXperia 1も存在しない。
ただ、ひとつ驚いたのはワイヤレス充電に対応しなくなった点。XZ2やXZ3ではワイヤレス充電ができたにも関わらずである。私はあまり気にしないが、実はワイヤレス充電”信者”が意外と多く存在し、ワイヤレス充電がないなんてありえないと思っているユーザーもいるので、この判断は残念な評価につながるだろう。
顔認証なし & サイド指紋認証
これもびっくりなのだが、セキュリティ上の観点ならなのか「顔認証」がない。
なぜなんだ?これだけ多くのスマホ、特に最近ではミッドレンジ・スマホにも顔認証が行われているのにも関わらず、フラッグシップであるXperia 1にはそれがない。
指紋認証は背面ではなくサイドに変更された。背面派の私には残念だけれど、取り立てて不満が出ることはないと思う。
重さ:意外と軽量
180g
昨年XZ2を重いことが不満の1つであったけれど、Xperia 1は6.5インチの大型スマホであることを考慮すれば結構軽量化されている。これは地味ながら素晴らしい点。
マルチ・タスク
6.5インチの大画面なので、2つのアプリを上下に配置できるのだが、2つのアプリを設定すれば同時に上下に開くことが可能。例えば「Youtubeを上に、インスタを下」にという具合である。
まあ「大したアピールポイントではない」と思う。
価格
現時点では公式発表していないが、およそ10万円前後になるのではと予想されている。確かにスペックを考えればそれくらいはするだろうと思うが、やっぱり高いなと思わずにはいられない。
1つ書いておきたいことは、ここ最近のソニーのフラッグシップは、海外通販サイトで月日が経つと「かなり値下げ」される傾向にあるようで、例えばXZ3も発売当初は10万円近くしていたものが、今では7万1000円ほどまで値下げされている。
かなり価格が下がりやすいスマホなので、Xperiaは発売直後には買わない方が良いといえる。
まとめ
Xperia 1は昨年のXZ2、XZ3から大きく飛躍はしていると思う。2019年のトレンドになるであろう「トリプル・レンズ・カメラ (広角・標準・望遠)」を比較的早く取り入れているし、Cinema Proという撮影モードにより、「本格的に映像を作り出す」ためのスマホとしても売り出そうとしている。
ただ、Cinema Proを使いこなすには「相当の技量」が必要なのでは?と思うため、一般受けはしなさそうな気がする。
もう1つソニーが大々的にアピールしている「6.5インチ 4K HDR OLED(有機EL)ディスプレイ」であるが、確かに最高のディスプレイなのかもしれないけれど、スマホにその解像度は特別必要ではないと感じている。
それ以外はフラッグシップとしてのスタンダードを備えており、スナップドラゴン855、6GB RAM、ドルビーアトモス対応のステレオスピーカーなどなどである。
ただ、いくつか不安な点は6.5インチの大画面なのにも関わらず3330mAhのバッテリー容量しかない点と、ワイヤレス充電に非対応、顔認証もないという点で、これらはおそらくユーザーの不満に直結するのではないかと心配になる。
価格は10万円前後になるだろうと言われ、非常に高額だと思うが、サムスンのS10シリーズも同様の価格帯なのでこれは仕方がないことだといえる。
ただ、1つ注目したいのはエクスペリアの価格は「下落する」傾向が高いことから、もしかするとある程度月日が経てばコスパ良好になるやもしれないという期待感はある。
最後に、Xperia 1に関してはもうすでに結構盛り上がっており、なぜか前評判が高い。しかし私個人として、現時点での感想は、確かに昨年のXZ2、XZ3から大きく変化してはいるが「バッテリー容量やワイヤレス充電非対応などで不安な点がちょっと目立ちすぎる」というのが本音であり、必ずしも「Xperia 1は期待大のスマホだ」っとは現状ではいえません。ということである。
Xperia 1が今後どういった評価を得ていくのかは不明だが、期待をしつつ見守りましょう。