「iPhone XR」についてレビューをしたい。発表時の感想では「XR」についてかなり批判的に話をまとめておりましたが、恥ずかしながらレビューでは掌を返したように「XRを褒めて」おります。個人的にはiPhone XSシリーズよりも私はこのXRの方をオススメしております。それではどうぞ。
アイキャッチ画像、記事内画像はアップル公式サイトよりスクリーンキャプチャ:https://www.apple.com/jp/iphone-xr/
発表時の記事は↓
主なスペック & 価格
チップ | A12 Bionic |
RAM | 3 GB |
容量 | 64/128/256 GB |
画面 | IPS LCD 6.1 インチ 解像度: HD+ 1792 x 828 (326ppi) 19.5:9 (アスペクト比) 79.0%(スクリーン対ボディ比) |
カメラ | 背面: メイン 1200万画素 F1.8 1.4μm 光学式手ぶれ補正 (OIS) 4K 24/30/60 FPS 1080P 30/60 FPS 1080P 120/240 FPS インカメラ:700万画素 F2.2 |
バッテリー | 2942 mAh |
OS | iOS 12 |
その他 | ワイヤレス充電 防塵防水 IP67 |
価格 (税込) |
64GB → 9万1584円 128GB → 9万8064円 256GB → 10万9944円 |
単刀直入な感想
発表時にiPhone XRについてかなり批判的に書いたけれど、実際に使ってみると私の考えはかなり変わってしまったといえる。
iPhone XRは間違いなく多くのユーザーを満足させる1台だといえる。しかもアベレージ・ユーザーであればXSよりもXRを買うべきだと堂々といえる。
処理能力はスマホ界でトップ (A12 Bionic + 3GB RAM)、カメラ性能もシングル・レンズながら全く妥協はなく、そのパフォーマンスは素晴らしい。バッテリーライフに関しては間違いなく最高クラスの性能。
スピーカーもおそらくスマホでは最高クラスといえ、iOSのアップデートやセキュリティ面には心配は一切いらない。ワイヤレス充電、防塵防水 IP67、Face ID、アップル・ペイ、リセールバリューなどiPhoneならではの有利な点も多い。
ディスプレイの画質はHD+という”低解像度”ながら非常にキレイなディスプレイなので問題はないのだが、思った以上にベゼルが太く、スクリーン対ボディ比も79.0%とパッとしない。
あと、アップルのケチな点が気に入らない。3.5mmイヤホン・アダプターは付属していないし、充電器は5W出力とアンドロイドの急速充電 (20W〜最大40W)と比べると全く比にならないレベルだといえる。
価格は
64GB → 9万1584円
128GB → 9万8064円
256GB → 10万9944円
この中であれば128GBを強くオススメする。9.8万円もするので、「全くもって廉価版」とはいえないけれど、XS、XS Maxと比べると間違いなく「コストパフォーマンスで優れているのはXR」だと思う。
それでは「良い点、及第点、残念な点」について詳しく見てまいりたい。
良い点
処理能力
A12 Bionic
3GB RAM
Antutuのスコア
iPhone XR → 33.4万点
Mate 20 Pro → 30.9万点 (現時点でアンドロイドのトップ)
iPhone XR、XSシリーズに載せられているA12 Bionicチップはアンドロイド・スマホのチップである「スナップドラゴン 845、Kirin 980」を全く寄せ付けない処理能力を誇っている。
現時点で、スマホでは最高のチップであり、2019年になって、ようやくアンドロイド勢がこのiPhoneのチップに追いつくことができるか、できないかという具合である。詳しくは → A12 Bionic チップについて
先にも書いたように、XSシリーズと同じA12チップを使っているため、アップルはXRの処理能力に妥協はしていない。XRのRAMは3GBとXSシリーズの4GB よりも少し劣るけれど、このRAMの差を体感できるほどの差はないだろうと予想できる。(私はXSの使用経験がないためわからない)
XRの処理能力には「大満足」であり、全てがスムーズな動作といえる。私は2D・3Dゲームをしないけれど、現時点でXRの処理能力で困ることはあり得ないといえる。
カメラ性能
メイン 1200万画素 F1.8光学式手ぶれ補正 (OIS) 電子式手ぶれ補正(EIS)
インカメラ 700万画素 F2.2
比較動画
いつも通り、比較動画(英語)を見てまいりましょう。(私にはこんな動画を作ることは不可能なので)
iPhone XR vs Pixel 3
XR vs XS
カメラ総評
メイン・レンズはXSシリーズと同じモノなので、センサーやF値に妥協はない。もちろん、シングル・レンズなのでXSシリーズのような光学2倍ズームレンズがない。
色味は「必ずしも自然な色合いとまでは思わない。若干、彩度が目立ち、まあまあな具合で暖色系」という感じがする。ただ、これは悪い意味ではなく、「良い見栄え」ではあるし、極端に不自然なカラーではない。
スマートHDRの出来栄えは非常によく、ダイナミックレンジに関しては素晴らしい出来だと思う。
ポートレート・モードはメイン・レンズのみの使用 (XSシリーズはメインと望遠を使用)。背景ボケの質は「予想以上」で、多くの人は満足できるハズである。
背景ボケの調節もとても良くできていて、ポートレート・モードの参入が遅かった割には「さすがアップル」という画質といえる。
ただ、ポートレート・モードは人物にしか対応できない (XSはモノにも使える)ので、背景ボケのある写真を重視したいのであれば、XRはオススメしない。
動画に関しては「ステレオ録音」になったことにより音質が非常によくなった。昨年まではモノラル録音であったので、XR、XSはかなりの性能アップといえる。
そして、動画の画質であるが、「4K動画の画質、ダイナミックレンジ良さ、手ぶれ補正 (30FPS、60FPS両方)、音質」すべてが素晴らしいといえる。この辺はA12チップの影響なのかもしれない。
カメラに関しては写真と動画の総合的なバランスを加味すれば「XRは2018年のスマホではトップクラスといえ称賛に値する (もしかしたら10万円以下のスマホであればベスト)」と思う。
バッテリーライフ
2942 mAh
「とにかく素晴らしい」の一言に尽きる。ディスプレイが6.1インチ HD+ということも要因なのかもしれないが、とにかくバッテリーが全然減らない。
私のようなアベレージ・ユーザーであれば丸二日は充電しなくても良い。おそらく、ヘビー・ユーザーでも1日は余裕でもつだろうと思う。
iOSは待機中のバッテリー消費が非常に少ないためか、4000mAh ものバッテリーを積んでいる 「Note 9、Poco F1」よりもバッテリーライフは良いように感じる (Note 9もPoco F1も十分に素晴らしいバッテリーライフではある)。
とにかく、XRのバッテリーは素晴らしい。
スピーカー (ステレオ)
一応、↑の動画を見てもらえれば「だいたいの音質」がつかめると思う。XRはXSシリーズと同じスピーカーを載せているので、「最高クラスの品質」といえる。
ちなみにNote 9のスピーカーも非常に優秀ということは書いておきたい。
もともとiPhoneはスピーカーの性能が良いので、スピーカーについて心配する必要はないけれど、アンドロイドとの競争が激化する中でもトップクラスの音質だといえる。
OS
OSについては「OSアップデートとセキュリティ、アプリの相性」に関してはiPhoneの右にでるものはいない。OSのアップデートの長さはアンドロイドのそれとは比べ物にならないし、セキュリティの更新も非常に早い。
アンドロイドのOSアップデートが2年ほどで終わってしまうのに対し、iPhoneは5年近くもアップデートが続く。現時点で最新のiOS12にはiPhone 5S (2013)も含まれている。こんなことはアンドロイドではあり得ない。
アプリもアンドロイドに比べて非常に安定していることは認めざるを得ない。もちろん、アンドロイドもここ数年はほとんど問題ないけれど、iPhoneの安定度はアンドロイドよりも優れている。
リセールバリューの高さ
これもiPhone特有で、リセールバリューの高さは本当にすごい。アンドロイド・スマホがすぐに価値が下落するのに対し、iPhoneの価値は徐々にしか下がっていかない。
これは他のアップル製品にも共通しており、このマーケット・バリューがすぐに変わるということは考えづらい。
その他、細かい点
ワイヤレス充電 、防塵防水 IP67
これは、昨年のiPhone 8シリーズと同じ。ワイヤレス充電は「ないよりあった方が良い」し、今後、ワイヤレス充電ができるカフェなどが増えていくと思うため、フラッグシップには必須といえる。
防塵防水はIP67とXSシリーズのIP68に1ランク下がった設計になっているけれど、IP67でも水没自体には耐えられるので、「大した差はない」と思う。
個人的には携帯を水没させないことが一番重要だと思っている。
Face ID
今回から第2世代ということでXよりも精度はアップしている(らしい)。Xを使っていないためわからないが、Face IDの認証精度は非常に素晴らしいといえ、アンドロイドの機種よりもセキュリティは高く、暗所でもすぐに顔を認識してくれる。個人的に思うところは暗所よりも意外屋外での逆光時のほうが認識がわるいと思う。
サイレント・スイッチ
これは本当に便利な機能。一瞬で無音モードに変換できるので便利。
アップル・ペイ
最近はアップル・ペイに対応しているお店も増えているので便利。
アンドロイドに関しては今年からGoogleも「グーグル・ペイ」を本格的に日本市場に参入してきているため、競争が高まってくるだろう。つまり、より便利になっていくと予想できる。
バイブレーション
iPhoneのバイブレーションはアンドロイドよりもかなり強く振動する。これは外で歩いているときには非常に役立つ、ただその反面、家にいるときは少しうるさいくらい。
及第点
ディスプレイ
画質は素晴らしい
Liquid Retinaディスプレイの出来は素晴らしい。発表時に解像度がHD+ということで「かなりディスって」いたことを陳謝したい。
非常に高品質なLCDディスプレイなので全く不満はないけれど、価格を考えれば「最低限、解像度はフルHD+」にしてほしかったと思っているし、HDRディスプレイではないの痛い点である。
さすがにOLED(有機EL)パネルを搭載しているスマホには「鮮やかさと黒の濃淡」では負けるけれど、「普通にYouTubeを見る分」には十分に良い画質を堪能できる。
丁度良いサイズ
6.1インチのサイズはかなり良い。「大きすぎず、小さすぎず」といえる。最近は「大画面サイズのアンドロイド・スマホ」が主流になってきているため、それらよりは若干小さいので良い。
価格 (Simフリー版)
モデル | XR (税込) |
64GB | 9万1584円 |
128GB | 9万8064円 |
256GB | 10万9944円 |
XSの超高額な価格を見たあとに、XRの価格を見ると安く感じるという「錯覚」が起こる (最安の税込64GB版が XS → 12.2万円 XS Max → 13.5万円)
XRに話を戻すと、64GBだと物足りないので、128GBを強くオススメする。64GBと128GBは6500円ほどしか価格差がないので絶対にそこはケチらない方が良い。
128GBの価格(9.8万円)は「ギャラクシー Note 9よりも高い (8.5万円イートレンでの個人輸入価格)」。サムスンが妥協なしで作ったフラッグシップよりも高い。つまりアンドロイドと比べると価格は高すぎるということは認めざるを得ない。
しかし、iPhoneの中ではどうかというと、「XRのコストパフォーマンスはiPhone XSよりも断然良い」といえる。XSを持っていない私がいうのもなんだが、間違いなく「XRのパフォーマンス」で皆満足できると思っている。特にアベレージ・ユーザーであれば、XSを買う必要など全くないと証明しているのがXRだと思う。
しかもXSシリーズは「128GBモデルがない」(↓はXSシリーズの価格)。多くの人は「256GBも必要ないが、64GBだと物足りないので256GBへアップグレードせざるを得ない」
モデル | XS | XS Max |
64GB | 12万1824円 | 13万4784円 |
256GB | 14万184円 | 15万3144円 |
512GB | 16万5024円 | 17万7984円 |
XRとXS おすすめのモデル別価格は4万円以上
XR (128GB) → 9万8064円 (税込)
XS (256GB) → 14万184円 (税込)
オススメしているモデル同士の場合、価格差が約4.2万円も変わってくる。4.2万円以上の見返りがXSにはあるとは到底思えない。というのが私の結論。
XRの価格設定は非常にうまく設定されており、昨年の8と8Plusの丁度真ん中に設定されている。なので、むやみに高い訳ではない。
100%このXRの価格を支持できるのかと問えば、そうは思わない。あくまでiPhoneの中でいえば「理にかなった価格設定」ではあるが、アンドロイド・スマホにはXRよりコストパフォーマンスの良いスマホはいくらでもある。
さはさりながら、決して「ボッタクリ価格ではない」ということを意味するために「及第点」に価格を含めた。
残念な点
ベゼル (79.0%:スクリーン対ボディ比)
画面の画質については全く不満はないけれど、「ベゼルの太さ」には不満がある。確かにベゼルレス・デザインではあるけれど、スクリーン対ボディ比は79.0%と80%に満たない数値であり、9万円超えの価格を考えれば納得はいかない。
OS:iOSが故の宿命
iOSが非常に素晴らしいOSであることは認めつつも、唯一気に食わないのがアプリを自由に配置できない点。
これはアンドロイドが唯一OS面において絶対的に優れているところだと思う。iOSには「自由度」が低すぎる点があり、ここは本当に納得がいかない。
アンドロイド・ユーザーならわかるだろうが、頻繁に使うアプリは画面の下の方に置くのが常である。iOSでは無意味に左上からアプリが並んでいくのでこれが嫌でならない。
その他、細かい点
イヤホンジャック、micro SD → なし
これはお決まりなので、慣れてはいるが、「ないよりあった方が良い」機能。
3.5mm イヤホン・アダプターなし
非常に腹立たしいのが、アダプターをつけていない点。これだけの価格を払って、アダプターがないとは・・・必要な人はサードパーティ製か、アップルストアで追加購入が必要。ケチすぎるアップル。
充電器 5W(ワット)出力
未だに5Wの充電器とか信じられない低速充電といえる。アンドロイドでは20Wや最大40W (Mate 20 Pro)の充電器が付属している時代だというのにである。
アンドロイドに慣れた人は5Wの充電器なんて使う気にもなれないと思う。
重さ:194g
若干ではあるが、重い。「思った以上に重い」という意味で、慣れれば済むけれど、一応指摘しておきたい。
まとめ
注目された、Liquid Retinaディスプレイは画質自体は非常に美しいが、ベゼルが太く、スクリーン対ボディ比も79.0%しかないし、HDR10にも対応していないのは不満である。
それと高額なのにも関わらず付属品には3.5mmイヤホン・アダプターはなく、加えて5W出力の超低速充電器というマイナス要素が示している通り、「全てにおいて優れたスマホ」とはいえない。
それでも、もしあなたがアベレージ・ユーザーであり、iPhoneしか選択肢にないのであれば、「XRを是非おすすめ」する。
「カメラ性能、バッテリーライフ、スピーカー」は間違いなく現時点では最高クラスの性能といえる。その他、長期間のOSアップデート・サポート、ワイヤレス充電、Face ID、アップル・ペイ、そしてリセールバリューの高さなども忘れてはならない重要な点である。
価格のところでも説明したように、2018年に発売されたiPhoneの中では「XRは間違いなく一番コストパフォーマンスが良い」と断言できる。その理由としては上位機種のXSには128GBモデルがなく、不必要に256GBモデルを買う必要があり、XSの256GBモデルに比べるとXRの128GBモデルは4.2万円も安い。
もちろん、アンドロイドに目を向ければ、もっとコスパの良いスマホはいくらでも存在するが、iPhoneしか選択肢にない場合はXRを躊躇なくオススメする。
発表時には「XRをかなりディスっていた」私ではあるが、蓋を開ければ「XRを称賛」しているのは非常に滑稽で情けなくもあるけれど、これが事実である。是非みなさんもXSを買う前に一度XRを手にとってみてほしいと思う。
私がオススメしているケース・ブランド (シュピゲン)
約1900円