このブログを書いている現時点 (2017年8月28日) で最もコスパの良いスマホは?と聞かれたら、私の知っている全ての情報を整理すると出てくる答えは、エクスパンシスで販売されている海外版LG V20一択といえる。価格は約4万円。海外版ということで日本でドコモやauか発売されているLG V20 Proや Isai Beat LGV34などの日本版ではないので勘違いされないように。
単刀直入な感想
5.7インチのQHDディスプレイという大画面に、スナップドラゴン820 + 4GB RAM + 容量64GB (micro SD可) と2016年のフラッグシップ機としては申し分のない構成。そしてLGらしく、というよりもむしろ現時点ではLGしか採用していないといっていい、交換可能なバッテリー(3200 mAh)を使用しているのでバッテリーの経年劣化の心配もいらない。カメラもデュアルレンズを採用し、標準レンズとワイド(広角)レンズという構成で、私はこのワイドレンズを高く評価している。そして、Quad DACを搭載し、イヤホン・ジャックの質をこれまでにないレベルに引き上げたといっていい。
絶賛ばかりしているけれど、V20にも弱点はある。そもそもがファブレットということもあり、デバイスが大きすぎたり、動画の手ブレがひどかったりと残念な点はある。それでも現在の実売価格が約4万円ということを考えれば、これ以上コスパの良い端末はない。私の知る限り。それでは発売から約10ヶ月程経ってはいますが、LG V20について深く掘り下げてまいりましょう。
主なスペック表
画面サイズ | 5.7インチ LCD IPS (2560 x 1440) QHD (2K) 513 ppi |
SoC | Snapdragon 820 |
RAM(メモリ) | 4 GB |
容量 | 64 GB 外付けmicro SD可 (2TBまで) |
カメラ | 背面: 標準レンズ 1600万画素 F1.8 光学式手ぶれ補正OIS
ワイドレンズ 800万画素 F2.4 インカメラ: 500万画素 F1.9 |
バッテリー | 3200 mAh (交換可能) |
参照元: https://www.expansys.jp/lg-v20-dual-sim-lg-h990ds-64gb-titan-303053/
LG USAよりスクリーンショット: https://www.lg.com/us/mobile-phones/v20
良い点
交換可能なバッテリー
数年前までは、この交換可能なバッテリーはスマホではよく見る存在ではあったものの、近年はデザイン性の観点からと防水機能をユーザーが求めているせいもあり、フラッグシップ機は交換可能バッテリーの設計を捨てていった。防水性を求めるユーザーがいる反面、この交換式バッテリーを求めるユーザーも根強く、LGは以前からのユーザーに応える形で常にこの交換可能バッテリーを採用してきた経緯がある。
私はこの交換可能バッテリーは防水性よりも重視している一人。なぜ交換式を好むのかというと、経年劣化したバッテリーをたった数千円で新品のバッテリーに変更できる点。みなさんもご存知の通り、バッテリーは時間が経てば劣化していく。2年も経たないうちにバッテリーの持ちがどんどん悪くなる経験をした人は多いハズ。人によっては、スマホを壊れるまで使う人もおり、そういう人たちはバッテリーさへ交換できれば何の問題もなく使えるのに買い換えるなんてもったいないと思う人は多い。この交換可能なバッテリーは長期的な視野で考えれば理想といえる。
もう一つの利点は、スペアとしてバッテリーをもてるという点。交換可能ということはバッテリーが0になっても10秒後にフル充電のスペアと交換が可能。ヘビーユーザーからすれば、これ程シンプルな解決方法はない。おそらくこういう使い方をしているユーザーはあまり多くはないけれど、海外旅行など、長時間充電ができない環境にいる機会が多い人であればスペアのバッテリーを持ち歩けるというのは心強いハズ。
ただ、残念なことにLGも防水性とデザイン性を求める潮流には逆らえなかったのであろう、今年のLG G6 では交換可能バッテリーと引き換えに防水デザインを採用。更に噂でもV20の後継機であるV30も防水になるということで、恐らく交換可能バッテリーを搭載したフラッグシップ機はこれで最後となる模様。
2017年でも十分に優秀な性能
スナップドラゴン820 + RAM 4GB + 容量64GB (micro SD可) はアベレージ・ユーザーであれば何一つ心配することのない性能といえる。もちろんライト・ユーザーなら言わずもがな。少々のヘビーユーザーでも大丈夫と。
スナップドラゴン820は2016年のフラッグシップ機に採用されているチップセットで現在最新のスナップドラゴンが835、2016年後半に開発されたのが821、そして820と、世代でいうと3世代前のチップセットとなる。毎年スマホのチップセットはどんどん性能が上がっていくけれど、3Dゲームをあまりしないユーザーであれば、いくらその性能が向上しようと体感で不満がでるほど差はない。もちろん常に最新を追い求めるマニア層はそうはいかないけれど。私感ではあるけれど、V20のチップセットの構成であれば2Dゲームであれば何の問題もないであろうし、アベレージ・ユーザーならば2年は全く不満なくサクサク動いてくれる。これは保証できるといっていい。
容量も64GBに 最大2TB まで micro SDが挿せる設計なので、容量で問題を抱えることはよっぽどのことがない限りないといえる。
ということでLG V20 の「スナップドラゴン820 + RAM 4GB + 容量64GB (micro SD可)」構成はアベレージ・ユーザーであれば性能など全く気にしなくて良い。
最高クラスではないけれど、十分高性能なカメラ性能
まず、V20のカメラはオートで撮り比べるとiPhone 7やギャラクシーS7、Google Pixelよりは若干劣る。とくにLGの端末はかなり彩度強くでる、簡単にいうと色のコントラストがかなり反映されやすく、色が濃くでやすい。ギャラクシーS7やS8も彩度が強目にでることで有名であるけれど、LGはそれ以上に強くでるので、自然な仕上がりは期待できない。自然ではないけれど、コントラストが効いた鮮やかな写真は撮れる。写真そのもののシャープさはフラッグシップ機相応なので、カメラ性能は合格点といえる。
V20の本領が発揮されるのはオートではなく、マニュアル・モード。このマニュアル・モードを駆使すれば、撮る側にはかなりの自由度が与えられる。普段、デジカメや一眼を使う人にとってはお馴染みの、ホワイトバランス、フォーカス、ISO、シャッタースピード、とこれらを全部マニュアルで設定できる。オートでは物足りない玄人向けといっていい。この当たりはマニュアル・モードで素晴らしい写真が撮れるXperiaシリーズと似ているといっていい。
V20が更にすごいのが動画のマニュアル・モードで、上記のホワイトバランスなどの基本設定に加え、4K撮影、フルHD 60FPS撮影、更には高性能な音声録音が可能。LG曰く「24bit/192kHzのスタジオ級サウンド録音」が可能ならしい。この他にも、アコースティック・オーディオといって録音時に録音したい方向から集中的に録音が可能。
という訳で、マニュアル・モードを駆使すれば、なんでも出来てしまうのがこのV20。本当に玄人向け。逆にいうと、使わなければ宝の持ち腐れとでもいえるけれど。つまり、オートでパシャパシャ撮りたい人にとっては、オートではiPhone 7やギャラクシーS7に劣るので若干不満になるのかもしれない。
コスパ最高クラス(約4万円の実売価格)
私が最も驚いているのが、エクスパンシスでのこの価格。正確を期すると4万750円。ただ海外版でエクスパンシスから個人輸入する形で購入することになる。個人輸入では関税が免除になり、商品代 + 送料 + 消費税 8% (商品+送料の60%分に課税) を支払うことになる。ざっと計算すると
商品代: 4万750円
送料: 1400円
消費税: {(40750 + 1400) x 60%} x 8% = 2023円
合計: 40750 + 1400 + 2023 = 4万4173円
全ての購入費用を計算すると約4万4千円。これは私がコスパ最強と謳っていたHuawei Mate9よりもまだ5千円も安い。現時点でMate 9の価格.com最安値は4万9800円。
発売当初V20の値段は9万円近くしていたと記憶している、少なくとも8万円はしていたので、それを考えれば新品で4.4万円という値段は破格といっていい。私も少々この性能にこの価格は釣り合わない。安すぎるので、売っても利益あるのかと勘ぐるほど。これ以上コスパの良いスマホは私の知っている情報では存在しません。
Quad DAC(クアッドダック)は音楽好きにはたまらない
Quad DAC を搭載した世界初のスマホ。V20のイヤホンジャックはそこらのスマホの普通のものではない。ただ、残念なことに私はオーディオ関係の知識がないに等しいので詳しくは書けないけれど、このV20のQuad DACは各方面で結構な評価を得ているのは確かなので、そこは信じて頂きたいところ。特に高性能なイヤホンやヘッドホンを使ってV20で聴くと大きな違いがあるのだそう。私は外でイヤホン挿して音楽は聴かないけれど、音楽を楽しみたい人ならばこれ以上の性能の良いイヤホン・ジャックを搭載しているスマホはV20とG6くらいなのでは。
その他、良い点
5.7インチ・QHD(2K)ディスプレイはもちろん美しい。さすがに世界のテレビ市場を牽引しているLGだけあって、ディスプレイは美しい。個人的に、スマホならフルHDあれば十分だとは思っているけれど、フラッグシップ機はQHDが当然という流れなので別にそこにとやかく言う訳ではありません。LGだけあってディスプレイは本当にキレイ。これよりもキレイなディスプレイはサムスンのAMOLEDディスプレイかソニーの4Kディスプレイくらいでしょう。
LG USAよりスクリーンショット: https://www.lg.com/us/mobile-phones/v20
上の写真をみてもらうと、V20はディスプレイ・最上部に第二ディスプレイがあるのだけれど、このたった2.1インチのディスプレイはそこそこ実用的で、端末がスリープ時でも常にこの2.1インチのディスプレイは常に時間や通知を表示してくれているので、いちいち本体をONにしなくても時間を「パッ」と確認できるので便利。意外にもスマホを時間確認のためチラ見することは多い。この常時表示以外にもいろいろと機能をもたせることは可能。
その他は、LG G6同様に耐衝撃テストに合格済みの堅牢性で、LG曰く、ミリタリー・スタンダード 810Gというテストに合格しているそうで、堅牢性は高い。バッテリーは3200 mAhと5.7インチのディスプレイにしては小さいのは否めないけれど、1日使う分には十分といえる。
残念な点
万人向けではないサイズ
こればかりは「そもそも論」になってしまうのだけれど、V20はサイズが大きすぎると感じる人は多いと思う。サイズでいうとiPhone 7Plus とそれほど変わらない、又はそれよりもほんの少しばかり大きいくらい。つまり、iPhone 7Plusが大きすぎると感じる人にはおすすめはできない。スマホのサイズは大きい方が好みとかカバンに入れるのでサイズは気にしないという人であれば問題はないけれど、5.7インチのスマホは私でも大きく感じ、スマホでここまでのサイズは必要か?と若干の疑問は感じる。
他にも、LGは以前からベゼルが狭かったにも関わらず、V20ではベゼル幅が大きい。かつてG3やG4は画面が5.5インチの割に非常にコンパクトなサイズに収まっていた。それが、V20では幅が広い。特に画面の下部のベゼルは大きすぎやしないかと感じる。これは非常に残念。
動画の手ぶれ補正はヒドい
動画の手ブレ補正にはあまり期待しないほうが良い。2017年では、動画がいかに手ブレを軽減できるのかに注目が集まっている。その観点からすれば、V20は失格の烙印が押されるのは免れない。V20のカメラ自体は固定していれば美しい画がとれる。これは写真も動画も非常に満足いく仕上がりになる。ただし、動画の手ブレはiPhone 7やギャラクシーS7、Google Pixelなどと比べることすらできない程、手ブレ補正が効いていない。下の動画はLG V20、Google Pixel、ギャラクシーS7のカメラ比較で、7:30から動画の比較がされており、V20がいかにブレブレなのかがよく分かる。Pixelが左、V20が真ん中、S7が右。
一応、iPhone 7Plusとのカメラ比較もされているので、気になる方はこちらもどうぞ。
ソフトウェアは引き続き改善が必要
LG G6のレビューでも書いたけれど、LGのソフトウェア面はLG色が強く、ストック(素の)・アンドロイドにはまだまだほど遠い状態。もちろん、少しずつ、LG色の強いUIは弱まってきてはいるものの、まだ余計なアプリや使いにくい操作性も残っているは事実。
あと、OSアップデートが異常に遅く、現在も未だに7.0で止まっている。これは本当にマイナス・ポイント。
故障時は自己責任
V20は日本で公式販売を行っておらず、買う場合は個人輸入する必要がある。OnePlus 5をレビューしたときにも書いたけれど、故障したときは非常にめんどうな手続きになる可能性は否定できない。
最近はエクスパンシスの故障時のカスタマーサービスも良くなってきており、以前ほどは心配する必要はない。しかしながら、全くの素人が個人輸入するにはそれなりの覚悟が必要で、故障したときは自己責任でなんとかしなければならないという考え方が必要。
まとめ
LG V20はフラッグシップ機がもっていれば良いなという機能を詰め込めるだけ詰め込んだスマホといっていい。交換可能バッテリー、デュアルカメラ、2016年では最高クラスのパフォーマンス、QHDディスプレイ、高品質録音、そしてQuad DACと、これでもかというくらいの機能が搭載されている。だからこそ、昨年、海外のスマホ・オタクはLG V20こそ“隠れた”2016年最高のスマホと賞賛していたのはこれが理由であると思われる。その隠れた名機が今はなんと全て込みで約4万4千円程で買えてしまうのだから、文句のつけようがない。
もちろん、V20にも弱点はあり、LG特有のUIやソフトウェア面、動画時の手ブレ補正の悪さ、そして5.7インチというサイズを考慮する必要はある。ソフトウェア面はユーザー自身が慣れれば大丈夫なものの、手ブレ補正やサイズは変更がききませんので。これらさへ問題のない人であれば、これ以上、コスパの良いスマホは私の知る限りございません。