「ギャラクシー Note 9」と「S9(+)」の比較レビューを行いたい。この2機種は2018年サムスンのフラッグシップ「二大巨頭」である。性能も機能も同じ部分も多いけれど、いつも通り8つのカテゴリー (カメラ性能・処理能力・バッテリーライフ・ディスプレイ・スピーカー・OS・その他・価格) に分けて比較していきたい。
アイキャッチ画像、記事内画像はギャラクシー公式サイトよりスクリーンキャプチャ:https://www.galaxymobile.jp
各レビューはこちら
単刀直入な結論
冒頭で書いたように、Note 9とS9+はサムスンのフラッグシップなので「多くの共通点」がある。むしろ違いの方が少ない。
2つに共通しているのは「処理能力、最高峰のディスプレイ、AKGによる高品質ステレオ・スピーカー、OS、その他の細かい点(イヤホンジャックなど)」これらのカテゴリーについては、若干の違いはありつつもほぼ同等のパフォーマンスといえる。
ただ、カメラ性能とバッテリーライフに関しては「Note 9の方が確実に優秀」だといえる。
そして、Note 9の最大の武器ともいえるのが「Sペン」で、特別使用頻度が高くない人でも「あれば便利」だといえるのがSペンだと思う。しかしながら、Sペンに関しては人によっては全く不要という方もいるため一概にSペンをゴリ押しできる機能とまでは言い難い。
基本的に2018年3月に発売されたS9+よりも2018年8月に発売されたNote 9の方が性能がアップされているのは当然ではあるし、そもそもサムスンの一番高性能スマホはNoteシリーズであるため、Note 9の方がS9+よりも優れている。
問題は価格面である。Note 9とS9+は日本のキャリア(ドコモとau)で買えるけれど、当記事ではスマホ単体の価値をシンプルに比較したいのでSimフリー版 (個人輸入) や ロック解除済みの価格で比較している。(価格は「じゃんぱら、イートレン、エクスパンシス」を参照)
執筆時の最安値
Note 9 → 8万5400円 (イートレン)
S9+ → 7万7800円 (じゃんぱら:未使用品)
価格差は7600円である。正直なところ、Note 9の価格が思ったよりも下落している。S9+とたった7600円しか変わらないことを考えれば、コストパフォーマンスではNote 9の方が上だといえる。
それでは8つのカテゴリー:カメラ性能・処理能力・バッテリーライフ・ディスプレイ・スピーカー・OS・その他・価格について詳しく見てまいりましょう。
カメラ性能
まずは比較動画を (こんな動画を作ってみたいものだ)
Note 9 の特性
Note 9のカメラ構成はS9シリーズと同じなのだが、ソフトウェア面で何かしらの改善が行われているように思える。S9特有の「明るすぎる傾向(露出オーバー)」が修正されているし、動画の色味もかなり自然な色味に近づいている。
色味は暖色系でほんの少し彩度が強めにでるが不自然な訳ではない。(昔のサムスンに見られた強い彩度ではない)。 HDR(ハイダイナミックレンジ)は十分に広いといえる。
動画の手ブレは4K30FPS、フルHD30FPSは業界トップクラスといえる安定感がある。4K60FPS、フルHD60FPSでの手ぶれ補正も非常に優秀。動画に関してはかなり安定した手ぶれ補正機能がある。
新しく追加した機能である、撮り直しアラートもまあまあ便利ではある。
総合的なカメラの性能としては非常に優秀だといえる。
S9+ の特性
オートで写真・動画を撮影した場合、「明るすぎる(露出オーバー気味の)」場合もあるのでそれはマイナス点といえる。
それでも動画・写真のクオリティーは安定して高いパフォーマンスといえる。特に4K動画のクオリティは2018年の春に発売されたスマホではトップクラスだといえる。手ぶれ補正に関しても”フルHD動画並み”に効いているし、ダイナミックレンジの幅も広く、音声の集音クオリティーも非常に高い。
画作りは“やわらかい”、“やや暖色系”の表現である。これは個人の見解にもよるとは思うけれど、私は高評価である。
カメラ まとめ
先にも書いたが、Note 9とS9+のハードウェアは同じである。どちらもメインがF1.5/F2.4、望遠(光学2倍ズーム)・F2.4。
両スマホともOIS(光学式手ぶれ補正)、EIS(電子式手ぶれ補正)がついている。しかしながら、ソフトウェア面でNote 9が何かしらのアップデートがなされており、Note 9 と S9を見比べるとNote 9の方がワンランク上の画質だといえる。
特に、Note 9はS9の「露出オーバー」の問題をしっかりと修正しているし、動画でも「S9よりも自然な色味」に近づけている。
ただ、S9+が大きく劣っているかと問われればそうではなく、S9のカメラ性能は十分に高い。Note 9と見比べると若干劣っているけれど、実際にS9だけを使っていれば多くの場面で写真・動画共に満足できる画質だといえる。
カメラ性能を総合的に比較した場合、Note 9のほうが優れている。カメラ性能はNote 9に軍配といえる。
処理能力
処理能力 | RAM | チップ |
Note 9 | 6GB (8GB:512GB版) |
スナップドラゴン845 (海外版 Exynos9810) |
S9+ | 6GB | スナップドラゴン845 (海外版 Exynos9810) |
*Note9、S9+は日本版はスナップドラゴン845、海外版はExynos9810
*海外版のExynos9810はバッテリー消費に問題がある可能性があるためおすすめしない
Note 9は512GB / 8GB RAMのオプションがあるにはあるが、ここまでのハイスペックを買う必要は全くないとおもっている。
Antutuのスコア
Note 9 → 約28.3万点
S9+ → 約26.3万点
同じチップ、同じRAMなのにも関わらずなぜか2万点も開きがあるけれど、なぜこうなるのかはわからない。ソフトウェアによる影響からかもしれないが、使用していてどちらも重い処理には困ったことはない。
ちなみにNote 9には「水冷システム」が導入されており、それにより処理能力の向上がみられているのかもしれない。
私は2D・3Dゲームを一切しないので、Note 9とS9+での処理能力の違いを体感できている訳ではないのでドローとしたいが、数値上はNote 9の方が僅かに優れているのでNote 9の方が上としたい。
バッテリーライフ
Note 9 → 4000 mAh
S9+ → 3500 mAh
順位 | メーカー | 時間 |
1位 | Vivo NEX | 8時間30分 |
2位 | Note 9 | 8時間05分 |
3位 | Oppo Find X | 7時間57分 |
4位 | P20 Pro | 7時間51分 |
5位 | S9+ | 7時間38分 |
6位 | OnePlus 6 | 7時間23分 |
7位 | Pixel2 XL | 7時間09分 |
8位 | Note 8 | 6時間46分 |
最下位 | iPhone X | 6時間41分 |
あくまでも↑の動画のバッテリードレイン・テストは参考として載せております。
私はアベレージ・ユーザーなので、S9+でも十分1日以上はもつのでバッテリーライフは比較的優秀だと思っている。それと比べてNote 9はどうかというと「超優秀」だといえる。
今のところはNote 9の4000mAhのバッテリーライフは伊達じゃなく、これを1日で使い切るのは非常に難しいといえるほどである。
ベビーユーザーならばS9+の場合、「足りない」と思うかもしれない。ゲームを重視するのであれば「Note 9」の方が良いだろう。
私のようなアベレージ・ユーザーであればどちらでも問題がないハズだ。しかしながら、Note 9の方が目に見えてバッテリーライフが良いので、バッテリーはNote 9に軍配。
ディスプレイ
Note 9 → 6.4インチ AMOLED QHD+
S9+ → 6.2インチ AMOLED QHD+
ディスプレイについてサムスンのスーパーAMOLED(有機EL)パネルは世界最高峰だと思うので、どちらも素晴らしく、この対決はドローとはじめから結論を書いておきたい。
私はNote 9もS9+もディスプレイ解像度をQHD+で使っていない。その理由はバッテリーを長持ちさせたいからで、いつもフルHD+の解像度に落として使っているけれど、それでも「非常に美しい」画質といえる。
AMOLEDなので発色もよく、鮮やかさや、黒の濃淡もよく表現されている。
スクリーン対ボディ比
Note 9 → 83.4%
S9+ → 84.2%
ノッチ・デザインを採用していないので、驚異的な数字とまでは言わないが、それでもベゼルはかなり小さいので問題はない。
一応はS9+の方が数値は上ではあるが、個人的にはどちらもボディに対しては同じようなスクリーン比に見える。これは、S9+の方がカーブしている曲面が数値を上げているとも言われている(私はそこまで小さいことには気にしていない)。
スピーカー
スピーカーもNote 9、S9+、共に今年になってから大きく性能アップしたカテゴリーといえる。オーストリアの老舗オーディオ・メーカー・AKGと提携し品質の高いステレオ・スピーカーを実現している。
↑の動画を見てもらえればわかるけれど、ほとんど差はなく、ほぼ同じといえる。一応、S9+の方がほんの若干音量が大きくなるらしいが、どちらのスピーカーでも十分に満足できるといえる。
OS
Note 9 → 8.1 オレオ
S9+ → 8.0 オレオ
OSに関してはほとんど同じである。ほとんど同じと書いた理由は、Note 9にはSペンに特化した機能がいくつかあり、それら以外は同じという意味である。
「かつてのサムスン・ラグ」の現象は見られなくなり、どちらのデバイスもスムーズに動く。OSに関してはドローとしたい。
One UI について
画像はサムスン・グローバル公式サイトより:https://www.samsung.com/global/galaxy/apps/one-ui/
つい最近11月中旬にサムスンは新しいUIである「One UI」について発表した。これはサムスンがアンドロイド・パイ(9.0)をベースに作ったもので「よりシンプルに、片手でも操作しやすく、通知内容も改善」されている。
そして、このUIを来年1月にはリリースするそうで、対象のデバイスは「S9、S9+、Note 9」と驚いたことにサムスンのスマホが来年の1月アンドロイド・パイへ更新される可能性が高いということである。
サムスンはOSのアップデートが非常に遅く、この点に関しては批判がいつも集中していたので、このOne UIの更新により今までの批判を一蹴できるのか期待したい。
その他、細かい点
Note 9 → Sペン
なんと言っても、Noteシリーズの魅力はSペンといえる。私はNote 9から新しく導入された「Bluetooth機能」は実は滅多に使っていないけれど、従来からある「スマート選択・画面オフメモ・キャプチャ手書き・翻訳」の機能は相変わらず便利だと思う。
ただ、個人的にはSペンを使用する頻度は今までの経験上「思ったより少なく」どうしてもスマホに必要なモノとまでは思わない。ただ、時々使うと便利だなと感じている。
Note以外のスマホを使っているときに「Sペンがあったらいいな」と思うことは「時たまあり」、「あれば便利な機能」ということを再確認させられるときもある。
イヤホンジャック、micro SD、ワイヤレス充電、防塵防水 IP68
Note 9 → 全てアリ
S9+ → 全てアリ
この辺は本当にさすがサムスンといえる点である。細かい点においてサムスンは抜かりがない。全て「あれば便利」な機能で、もはやこの4つを全て兼ね備えているスマホはサムスンとLGくらいだろうか。
指紋認証 (背面)、顔認証、虹彩認証
こちらも両者全てアリ。指紋認証の位置が昨年のS8、Note 8よりも改善されたのは大きい。顔認証と虹彩認証を同時に利用する「インテリジェント・スキャン」も実用性があり、悪くない。
私はもっぱら指紋認証で解除しているけれど・・・
ただ、1つだけNote 9の指紋認証ボタンについて言及すると、Note 9の指紋認証ボタンの配置がちょっと高く小さい。すぐに慣れるけれど、S9+の指紋認証ボタンの位置の方がすぐに「パッと」届く位置にある。
Bixby ボタン → 不評
私のレビューでいつも文句を言っているBixbyですが、基本的に「誤ってボタンを押す」ことが多いため鬱陶しい。
Note 9もS9+も「bxActions」というアプリを使って、無効にしたり、「グーグル・アシスタント」が起動するように変更している。
Note 9 → 少し重い
Note 9 → 201 g (6.4 インチ)
S9+ → 189 g (6.2 インチ)
S9+も決して軽いとは言わないが、Note 9は重いと感じる。まあ「そういうスマホだから」というのは理解できるけれど、人によっては重いので不満を感じる人もいるかもしれない。私は我慢できる範囲ではある。
価格 (コストパフォーマンス)
今回も比較をシンプルにするため、Simフリー版での価格を対象に検討します。私がよく価格比較で使うサイトは個人輸入の場合は「エクスパンシスとイートレン」。日本で買う場合は中古スマホで有名な「じゃんぱら」の価格を参考にしています。
上記の3社の価格から最安のモデル・色を選択しています。
一応、ドコモでの価格もあとで参考程度に載せておきます。
*Note 9、S9+はドコモ、auで購入が可能。最終的な月々の費用や端末代金は個々人によって変わってくるため個人輸入の価格とじゃんぱらの価格とで検討しています。あと、スマホ単体だけの価格の場合、個人輸入の方が安いという理由もあります。ドコモでの参考価格は下に。
執筆時の最安値
Note 9 | 8万5400円 (イートレン) |
S9+ | 7万7800円 (じゃんぱら) |
差額 | 7600円 |
*Note 9は「スナップドラゴン845搭載の N9600」を参考
*じゃんぱらの価格は「未使用品 (auロック解除済み)」の価格
価格 まとめ
まず、結論から書くと、コストパフォーマンスで秀でているのは「Note 9」の方である。S9+との性能比較で「バッテリーライフ、カメラ性能、Sペン」においては確実に優れているので、そのNote 9をS9+からプラス7600円で買えるのだから、Note 9の方がコストパフォーマンスが良い。
しがかしながら、イートレンという海外通販サイトから買うことになるので、「万が一、不運にも故障した時はかなりの手間と時間がかかる」と予想される。
S9+の場合はすでに国内でも中古品や未使用品が出回っており、「じゃんぱら」で買った場合に初期不良で故障があった場合は「1ヶ月以内」であれば取り合ってもらえる。
私なら故障時のリスクを負ってでもイートレンでNote 9を買うけれど、これは個々人で熟慮した上で購入先を考えてほしいと思う。
念には念をという理由で、S9+を「じゃんぱら」などの大手のリサイクル・ショップで買うのもアリだといえる。
ただ、コストパフォーマンスだけで見比べると、Note 9をイートレンで購入する方が現時点では良い選択といえる。
価格 (ドコモ)
ドコモ | Note 9 | S9+ |
一括購入 | 12万6360円 | 11万1456円 |
新規 | 8万352円 | 4万9248円 |
機種変 | 8万5536円 | 5万4432円 |
MNP | 6万3504円 | 3万2400円 |
まとめ
カテゴリー | Note 9 | S9+ |
カメラ | ◯ | |
処理能力 | 引き分け(若干Note 9が上) | |
バッテリー | ◯ | |
ディスプレイ | 引き分け | |
スピーカー | 引き分け | |
OS | 引き分け | |
その他 | 引き分け | |
価格 (コスパ) | ◯ |
Note 9もS9+も非常に優秀なフラッグシップ・スマホだといえる。
Note 9がS9+より優れているのは「カメラ性能、バッテリーライフ、Sペン」という点で、カメラ性能は決して大きく優れている訳ではないが、確実に性能は上がっている。バッテリーライフもワンランク、ツーランクくらいは良くなっていると体感できる。
Sペンに関しては使う人とそうでない人に別れると思うが、私のように「時々使う派」でも「あったら便利だな」と感じる。
上記のアドバンテージ以外はNote 9とS9+に大きな性能差はなく「ディスプレイ、スピーカー、OS、その他の細かい点」の性能はほぼ同等といえる。
あとは価格で:執筆時の最安値
Note 9 → 8万5400円 (イートレン)
S9+ → 7万7800円 (じゃんぱら:未使用品)
Note 9が8月に発表された影響からか、現時点では8万5400円と意外と値下がりしているため、コストパフォーマンスが高い。S9+も発表時より値下がりしているけれど、Note 9よりかはたった7600円しか差がない。
こうなるとコストパフォーマンスはNote 9を買うことをオススメする。
もちろん、ドコモなどのキャリアで契約する場合は個々人の契約内容によって価格は変わってくる。それにS9+の在庫処理でS9+が安売りされ、お得に買える時期になってきている。その辺はケース・バイ・ケースでご自身にとってベストな選択肢をしてもらいたい。
Simフリー や ロック解除済みのという「スマホ自体の価格」だけで考えた場合は、今の所、Note 9を8万5400円 (イートレン)で購入するのが良いといえる。
サムスンのフラッグシップである「Note 9 と S9+」どちらも非常に良いスマホで価格も下がってきているので是非検討してもらえればと思う。8つのカテゴリーで比較した結果、現時点ではS9+よりもNote 9をオススメしたい。
<最新の価格は以下より>
私がオススメしているシュピゲン・ケース
Note 9 → 約2000円
S9+ → 約1600円
各レビューはこちら